令和2年  司法試験予備試験 論文 再現答案 刑事訴訟法


設問 前段

1.弁護人は、②の事件について判断することは、「確定判決を経たとき」にあたり、免訴判決をすべきと主張しているものと考えられる。②の事件について判断することは、「確定判決を経たとき」といえるか。一事不再理(憲法39条後段)の及ぶ範囲が問題となる。

2.そもそも一事不再理効の根拠は被告人に2重で有罪判決の危険を負わせないという点に求められる。そして、被告人は、訴因変更の限界を画する機能概念たる「公訴事実の同一性」(3121)の範囲内で有罪判決の危険を負うものと解される。

そのため、「公訴事実の同一性」が認められるためには、基本的事実関係が同一かで判断し、補充的に非両立の基準を用いて判断する。

もっとも、確定判決を経た時点で、判明していない事件があった場合など起訴の可能性がない場合には、有罪の危険が及んでいたとはいえないため、「確定判決を経たとき」とはいえないものと解する。

3.①の事件は令和元年61日に起こったものに対して、②の事件は令和元年515日に起こったものであり、また①の事件はHI市内、②の事件はJL市内で起こったものであり、時間的にも場所的にも離れて起こされたものである。そのため、基本的事実関係が同一であるとはいえず、「公訴事実の同一性」の範囲内にあったともいえない。

また、仮に基本的事実関係が同じであったとしても、②の事件は、①の事件の確定判決を経てから判明しており、起訴の可能性がなく

、甲は有罪の二重の危険を負っていたとはいえない。

したがって、「確定判決を経たとき」にあたらず、裁判所としては、免訴判決をせず、通常通り審査するべきである。 

設問 後段

1.本件でも、上記と同様の基準で、「確定判決を経たとき」にあたるのかを判断する。

2.上述のように、①と②の事件は基本的事実関係が同じであり、「公訴事実の同一性」の範囲内にあるとはいえない。

もっとも、本件では「常習として」という文言が付されているため、これは検察官に起訴便宜主義(259条、260条)が認められている以上、「常習として」という文言を付さずに起訴できるのにもかかわらず、あえてその文言を付しているということは①の事件の中に、②の事件も含めて起訴しているものと判断することができる。

そうすると、甲は、②の事件についても、有罪判決の危険にさらされているものとみることができる。

したがって、本件では、「確定判決を経たとき」にあたり、裁判所としては、免罪の判決をすべきである。

以上


感想

一瞬、「また訴因の問題か!」とも思ったが、全然違った。正直、よくわからなかったが現場思考でなんとか書いたって感じ。Fじゃなければいい方なんじゃないかな。

というか、論文始めて受けるから、どのくらいでどの評価とか全く検討つかん。