令和4年 予備試験  行政法  再現

設問1

1 取消訴訟を断念した理由

(1)取消訴訟の提起は、「処分…があったことを知った日から6箇月を経過したとき」には提起することができない(行政事件訴訟法(以下「行訴法」とする)14条1項)。

(2)本件処分は、平成18年4月14日にされており、Dは、平成31年3月5日に公園の整備について、教育委員会に相談をしていることから、少なくともこの時点で本件処分について「知った」といえる。そして、Dが、本件処分について、取消訴訟の提起を検討したのは、令和3年5月以降であることから、この時点で、既に「知った」ときから6箇月が経過している。

(2)また、「処分・・の日から1年が経過したとき」も提起することができない。

(3)上記のとおり、処分があった日から令和3年5月の時点では、既に1年が経過している。

(4)また、出訴期間が過ぎていたとしても、「正当な理由」があれば取消訴訟の提起は可能である。しかし、本件においては、その「正当な理由」があるとする事情は無い。

(5)以上のとおり、Dは、出訴期間が過ぎていたことから、取消訴訟の提起を断念した。

2 原告適格について

(1)原告適格が認められるためにはDが「法律上の利益を有する者」(行訴法36条)にあたらなければならない。そして「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあるものを指す。

(2)Dは本件土地を所有しており、本来であれば、その土地を自由に整備することができる自由を有するはずである。しかし、本件土地には、本件処分の対象となっている古墳が含まれており、本件土地を整備する為には、条例13条の許可が必要とされており、上記自由の制約が認められる。その為、Dは「法律上の利益を有する者」といえ、原告適格が認められる。

設問2

(1)行訴法36条の「無効」とは、処分の瑕疵が重大であり、かつその瑕疵が明白である場合を指す。

(2)Dの本件処分が無効であるとの主張については、内容の明確性については①標識の設置があったのであるから本件処分は明白であった。手続きについては、Eへの意見聴取がされているのであるから、適正に履践されていたと反論することが考えられる。

(3)これらの反論について、Dは以下の通り、再反論をすることが考えられる。

(ⅰ)①について、たしかに標識の設置がされているが、C古墳であることの表示がされておらず、この標識の設置には瑕疵がある。また、それは外観上、どの範囲までに処分の効力がおよぶかが不明であるからその瑕疵は明白である。そのため、本件処分は無効自由である。

(ⅱ)②については、条例4条2項において、本件処分をする際には、保護委員会に諮問しなければならない旨が定められている。そして、条例21条では、その保護委員会の会議は「委員の半数以上が出席しなければ開くことができない」とされている。それにもかかわらず、B町はEのみからしか意見聴取を経ておらず、手続き上の瑕疵がある。さらに、この瑕疵は、関係資料にその旨が付記されているのであるから、この瑕疵は明白である。

Dは以上の様に、本件処分の無効確認訴訟において、本件処分が無効であると主張する。

 

所感

原告適格の36条の後段がすっぽり抜けてしまっていた。これが原告適格の検討に必要であることも抜けていた。Fは無いと思いたいが、良くてD、若しくはEか。

 

 

10月30日追記

評価 E

 

設問1前段は、正当な理由の当てはめが薄すぎたのが、明確な減点事由かな。

後段については、補充性の要件をガン無視したのが全て。

 

設問2は、どのような点で無効となるのかが不明確で、さらに自分が示した規範に対応しない当てはめとなっている。