令和4年 予備試験 民訴 再現

設問1

1①の方法について

(1)この方法による場合、Xに「団体性」(民事訴訟法(以下法名略)29条)が認められれば、この訴えは適法となる。

(2)ここで、「団体性」は、①団体としての組織を備え、②構成員の変動にもかかわらず団体そのものは存続し、③代表者の定めがあり、④その他、団体としての主要な点が確立している場合に認められる。

(3)Xは、自動車の愛好家らによって創設されたクラブであり、20年近くにわたって継続的に活動がなされているのであるから、団体としての組織を備えているといえる(①)。

また、20年近くに渡り、継続的に活動を行ってきたのであるから、構成員の変動にもかかわらず団体そのものは継続されてきているものと考えられる(②)。さらに、AはXの代表者として定められている(③)。そして、Xは不動産等の財産を有しているため、その他の団体としての主要な点が確立しているといえる(④)。

以上により、Xには、「団体性」が認められ、①の方法は適法となり得る。

(4)では、Xの中の構成員に反対者がいる場合には、この適法性に影響を与えるか。

この点については、この反対者がいるという事情は、Xの内部事情に過ぎない。その為、この事情は①の方法に対して影響を与えない。したがって、①の方法は適法である。

設問2 

1アについて

(1)142条において、重複起訴が禁止されている趣旨は、判決の矛盾の防止、被告の応訴の煩、訴訟不経済の防止という点に求められる。この様な趣旨から、重複起訴にあたるか否かは①当事者の同一性、②審判対象の同一性という観点から判断する。

(2)本件では、本訴と別訴では、当事者はXとYであり、原告と被告が入れ替わっているのみであるから、当事者の同一性は認められる(①)。そして、本訴の訴訟物は甲土地の総有権の確認であり、他方で、別訴の訴訟物は、所有権に基づく甲土地の明渡請求権であるから、訴訟物は本訴と別訴で異なっている。しかし、この二つの訴訟物は、同じ甲土地の利用に関する権利に関するものであるから、矛盾抵触のおそれはある。その為、審判対象の同一性も認められる。以上により、本件別訴は142条に反し、適法ではない。

2イについて

(1) 既判力は、「主文に包含するもの」(114条)つまり、訴訟物に限り、その効力を有する。
前訴の訴訟物は、甲土地の総有権の確認であり、後訴の訴訟物は、所有権に基づく甲土地の明渡請求権であるから、前訴と後訴で訴訟物は異なるのであるから、前訴判決の既判力は後訴に対して何ら効力を及ぼさない。

(2) また、既判力は矛盾関係、同一関係、先行関係となる場合でも、後訴に対して、既判力を及ぼす場合がある。
しかし、前訴と後訴とでは、このような関係は認められない。そのため、この点からも前訴の既判力は後訴に対して何ら効力を及ぼさない。

設問1

2、②の方法について

この方法は、任意的訴訟担当として適法となる。そして、この場合も、構成員の中に反対者がいるという事情は、Xの内部事情に過ぎない。そのため、この方法も適法となる。

以上

 

所感  

論外!

以上!