令和4年 予備試験  経済法  再現

1 X社は、「他の会社である」Y社の「事業の・・・重要部分」である甲の製造販売事業を譲り受けることを計画している。以下、この行為が独占禁止法16条1項に違反するか以下検討する。

(1)一定の取引分野

これは市場のことを指す。そして、商品、役務の範囲及び地理的範囲を、基本的には、需要者からの代替性から判断し、補充的に、供給者からの代替性が認められるかという点も考慮に入れて、市場を確定する。

まず、X社は、甲の製造販売を行っているのであるから、商品の範囲は甲が挙げられる。

乙の部品として甲に代わるものはなく、また、乙の部品として用いる以外に甲の用途はなく、大型甲の代わりに小型甲を用いることはできず、小型甲の代わりに大型甲を用いることもできない為、需要者側からの代替性は認められない。また、大型甲の製造設備を小型甲の製造設備に変更することはできないし、小型甲の製造設備 を大型甲の製造設備に変更することもできないのであるから、供給者側からの代替性も認められない。このことから、商品の範囲は、大型甲と小型甲の二つに分けられる。

さらに、X社とY社は、甲を世界中に販売しており、販売価格に占める輸送費や関税の割合は小さく、大型甲及び小型甲のいずれの取引においても、国ごとの価格差はないのであるから、地理的は範囲は、世界中となる。

以上の点から、市場は、世界における大型甲の製造販売市場と世界における小型甲の製造販売市場が挙げられる。

(2)競争を実質的に制限

これについては、事業者又は事業者団体が価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することができる状態をもたらした場合には認められる。以下、2つの市場に分けて検討する。

(ア)大型甲の製造販売市場

本件計画を行うことになると、X社が90%のシェアを有することになり、ほとんど、この市場を独占することになる。そして、大型甲の需要減少に伴い、X社及びY社は、大型甲について十分な製造余力を有する一方で、A社は、大型甲の製造設備を縮小してきており、大型甲について製造余力を有しない。このような、状況に鑑みると、本件計画が行われると、X社が単独で、大型甲の価格等の条件を左右することができるようになる。そのため、競争を実質的に制限することになるといえる。

(イ)小型甲の製造販売市場

この市場においては、本件計画が行われることがあっても、X社のシェアは30%にとどまり、過半数まで達するわけではない。そして、近年、小型甲に対する需要は増加傾向にあり、モバイル型乙及び小型甲をめぐっては技術開発を含む活発な競争が行われており、小型甲の製品サイクルは短い。さらに、X社及びY社が小型甲について十分な製造余力を有しないのに対して、A社、B社及びC社は小型甲について十分な製造余力を有している。さらに、モバイル型乙の製造販売業者は、小型甲の製造販売業者に対し て取引交渉上の地位が強く、さらに、低価格調達のために発注方法を工夫している。このような状況に鑑みると、本件計画が行われたとしても、まだ競争が行われることが予想され、競争を実質的に制限することにはならない。

2 以上により、大型甲での製造販売市場では、法16条1項に反することになるが、小型甲の製造販売市場では、法16条1項には反しない。

 なお、本件計画は、Y社の大型甲の製造販売部門は大幅な赤字が続いていることから行われようとされている為、正当な理由はない。

以上

 

所感

なるべく、全ての事情を拾ったつもり。しかし、評価が薄すぎた気がする。現場では、もう少し、事実の拾い方を端折って、評価をもうちょっと書いた気がするが、試験後2週間程度ではこのくらいしか覚えてない。

 

選択科目は初年度ということで簡単な問題だったのは間違いない。そのため、優秀層には、書き負けてけてしまっている気がするため、Cとか行くのが限界か。。。。

 

 

11月1日追記

評価F

結合関係を書かなかったことがまず一つの致命的なミスか??更に、単独的行動、協調的行動による競争の実質的制限の検討も漏れてしまっている。答案の型からして、ダメだった。

 

また、大型甲については、正当理由を検討するのに十分な材料が問題文にあったのにガン無視してしまった。、、