令和4年 予備試験  民法  再現

設問1(1)

1 Bの請求の根拠は、請負契約の報酬の減額請求である(民法「以下法名略」636条反対解釈、559条、563条)。Aは、Bから「外壁の塗料には塗料αを使用して欲しい」と申し入れられていたにもかかわらず、塗料βを使用していたのだから「契約の内容に適合しない」として、Bの請求は認められそうである。

2 しかし、636条において契約不適合の場合に減額請求が認められる趣旨は、通常、契約不適合の場合には、目的物の客観的価値が下がっているという点に求められる。その為、形式的にみて契約不適合に当たるという場合でも、目的物の客観的価値が下がっていないという特段の事情が認められるであればこの減額請求は認められないものと解する。

3 塗料βは、塗料αよりも耐久性が高く、防汚防水性能にも優れており、高価であり、その為に、甲建物は、外壁塗装を塗料αで行った場合よりも、外壁塗装を塗料βでおこなったことにより客観的価値が高くなっている。また、Aが塗料βを使用した経緯は、周辺住民とのトラブルを避けるためというものであり、この点においても、甲建物の価値は、塗料αで外壁塗装をした場合よりも、塗料βで外壁塗装を行った場合の方が、客観的価値が高くなっている。その為、上記の特段の事情が認められ、Bの減額請求は認められない。

設問1(2)

1 この請求の根拠も、上記と同様の、契約不適合によるものである。しかし、本件においては、Bは、再塗装を未だしておらず、この時点で「損害」が観念できない。そのため、この請求は認められない。

設問2

1 Fが援用する乙不動産の取得事項が認められるための要件は①20年間の占有、②所有の意志、③平穏かつ公然、④他人のものの占有である。以下、この要件を満たすか検討する。

ア Fは遅くとも、令和9年4月1日には、乙不動産の登記を取得している為、この時点から占有が認められる。そして、Fは令和29年4月15日において、取得事項を援用しており、この時点においても占有があると考えられる。そのため、①の要件は認められる。

イ(1)FはEに対して、「乙不動産は、Dが Cから贈与を受けたものであるから」といい、FがDの地位を相続したことにより、乙不動産の所有権を取得したことから「所有の意志」の要件は満たされているものとも考えられる、しかし、実際には、Dは、使用貸借を受けていたにすぎず、Dには「所有の意志」は認められない。その為、相続が「新たな権限」に当たるかが問題となる。

(2)たしかに、相続はその占有形態に変動が認められないから「新たな権限」に当たらないとも思える。しかし、他の承継取得と区別する理由もない為、「新たな権限」に含まれると解する。もっとも、所有者の保護の図らなければならない為、所有の意志を外形的客観的に表示していなければならないものと解する。

(3)Fは、Eに対して、「乙不動産は、DがCから贈与を受けたものであるから、登記名義を自分に移したい。」と相談していることから、この外形的客観的な「所有の意志」が認められる。そのため、②の要件も満たす。

ウ 次に③については、186条によって、推定される。本件においては、平穏かつ公然の占有を覆す事情は見当たらず、この要件も満たす。

エ(1)最後に、④についてだが、FはDが贈与を受けていたと考えていたのだから「自己の物」の取得事項を援用しているものとも考えられる。「自己の物」の時効取得は認められるか。

(2)時効取得の趣旨は永続した事実状態の尊重という点に求められる。そうすると、「自己の物」を占有していた場合でも、その事実状態は尊重されるべきである。そのため、「自己の物」の時効取得も認められる。

そのため、④の要件も満たされる。

2 以上により、上記①から④のすべての要件を満たすため、Fが援用する乙不動産の取得時効の成立は認められる。

 

所感

設問1(1)は現場思考で規範でっち上げ。

(2)は、何も書いてないに等しい。

設問2は、そこそこ書けた気がするが、抜けてる部分がある気がする。

良くてCかDか。

 

11月1日  評価 D

設問1(1)

冒頭で代金減額請求の根拠条文を普通に間違えた。その上で、条文の各要件に正確に当てはめができていなく、いきなり論点に飛びついている印象に見える。

 

設問1(2)

苦し紛れにでも、どの条文により、損害賠償請求をしているのかを指摘しなければならなかった。

ここで、客観的価値が上がってるのが、損害と当たるのかみたいな議論は、現場で考えるのは無理な気がする。

 

設問2

自主占有の転換時期についての吟味が足りない。

 

しかし、このぐらいでもDは貰えるんだなというのは意外であった。