令和2年 司法試験予備試験 民訴 再現答案

再現答案 民訴

設問1 前段

1.まず、本訴において、訴えの利益が認められなければ、裁判所としては訴え却下の判決をすることになる。

そこで、本訴について訴えの利益が認められるか検討する。

2.確認の訴えは執行を前提とするものでなく、また、その対象は不明確となりやすい。そのため、その範囲は限定的に解されなければならない。そこで、①対象選択の適否②方法選択の適否③即時確定の利益が認められるかで訴えの利益が認められるかを判断するべきである。

3.まず、本訴は本件事故の損害賠償債務に限定しており、対象選択としては適切である。また、Xとしては、債務不存在確認の訴えでしかこの紛争解決の手段は無く、方法選択としても適切である。さらに、すでに本件事故によるYの人的損害については、X Y間で主張の食い違いが生じており、即時確定の利益もある。

以上により、本訴には訴えの利益が認められる。

4.そして、裁判所としては、 Yの人的損害の発生を認めるに足りる証拠はないと判断しており、さらに、本件事故による物損についての損害額の全額の支払いは Yは既に受けていて、全て填補されているとの心証を形成している。そのため、本訴について、裁判所は全部認容判決をするべきである。

設問1 後段

既判力は「主文に包含するもの」に生じる。(114条1項)

そして、民事訴訟は当事者間の権利関係の存否を判断するものであるから、「主文に包含するもの」とは訴訟物を指し、その範囲で既判力が生じると解することで足りる。

上述のように、裁判所は本訴で全部認容判決をすべきであるから、Xの本件事故による損害賠償債務が無いという判断に既判力が生じている。

設問2

1.前述のように、本訴については本件事故によるXの損害賠償債務は無いという判断に既判力が生じているため、後訴は前訴の本訴の既判力に抵触するようにも思える。

2.しかし、既判力の根拠は手続保証が充足された元での、自己責任にあるのであるから、既判力の基準時たる口頭弁論終結後の事由による主張については、自己責任を問うことはできない。判例も同様に解しているものと考えられる。

3.後訴は、前記基準時よりも後に生じた後遺症によるものであり、前訴においては主張することのできなかったものである。

したがって、前訴の既判力に抵触しない。

以上のように、 Yは残部請求が認められるように根拠づけるものと解する。

以上

感想

もうちょいマシな答案だったきもするけど、こんなもんかな。自己評価は無論、F