令和2年司法試験予備試験 民法 再現答案

再現答案 民法

民法

設問1

1.CBA代理人であることを示していたことから、本件消費貸借契約を締結しているが、Bが後見人に就任したのは、この契約の後であり、Aの財産について代理権を有さず(859)、この契約の効果は、Aに帰属しないのが原則である。

しかし、CBA代理人であることを示していたことから、これを信頼して本件契約を締結していたのであり、それにもかかわらず、CAに本件契約の請求をすることができないのは酷である。

そのため、Cを保護する法律構成が問題となる。

2 ABは「通じて」いないため、942項の直接適用はできない。

しかし、942項の趣旨は権利外観法理にあるため①虚偽の外観の存在、②本人の帰責性、③第三者の信頼がある場合には、同条同項を類推適用し、Cの保護を図ることができる。

なお、③第三者の帰責性については、本人にそれほど重い帰責性がない場合には、第三者との利益衡量の観点から、第三者には善意のみならず、無過失も要求される。

BはA代理人であることを示していたから、①虚偽の外観の存在は認められる。しかし、Aにはなんら帰責性が認められず、②は認められない。

以上により、942項の類推適用は認められず、Cは本件の請求をすることができない。

以上は、Cにとって酷な結果となり不当とも思える。しかし、CBに対して無権代理人の責任の追及が可能であるから(117)不当な結果ともならない。


設問2

1.Dは自己の請求が認められるために、債権者代位権を行使し、本件売買契約の詐欺取消権(961項)を代位行使することが考えられる。(423条)これは認められるか。

(1)まず、Aは不動産以外にめぼしい財産は無かったのであるから、「債権者」Dは「自己の債権を保全するため必要があるとき」といえる。

(2)それでも、詐欺取消権はAの意思にかかるものであり、「債務者の一身に専属する権利」ではないのか。

 これについては、他の債権者を害する場合にまで、「債務者」の意思を尊重する必要はない。

 そのため、本件の詐欺取消権はA一身専属権には当たらない。

(3)次に、Dの債権は弁済期が令和54月末日であり、まだその期限が到来していない。しかし、本件請求は強制執行するための前提であり、「保存行為」となる。よって、本条第2項の要件は問題がない。

(4)加えて、Dの債権は、金銭債権であるから、強制執行により実現することが可能である。よって、同条第3項の要件も問題がない。

2、以上により、Dはこの請求が認められる。

3、次に、Dは詐害行為取消権(424条)を行使して、本件売買契約を取り消すことが考えられる。

(1)しかし、本件売買契約は、Aが「債権者」Dを「害することを知ってした行為」とはいえない。

以上により、Dはこの請求は認められない。


以上


感想

全く手応え無し。多分、F